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譲るの方言はコスだった


親しい間柄で物を「売る」ことを、一般に共通語では「譲る」という語を用い、「米3キロバッカシ譲ってクンナカンベカー(くれないでしょうか)」のようにいいます。また「分ける」を用いて、「米3キロバッカシ分けてクンネケー(くれませんか)」ともいいます。

かって「売る」ということは、利益を目的とするので、知人同士ではこの言葉を蔑んで使いませんでしたが、それに代わってやんわりと遠回しに言う「譲る」とか「分ける」を使いました。

同じように、知り合い同士の農民たちは「売る」を嫌って「コス」という方言を使いました。コスはお互いに現金収入の少ない相手の気持ちをおしはかってつくられた方言で、売るともつかず、くれるとも貸すともつかない、実にあいまいな言葉です。

金銭的に高価でなく、また、量的にも多くない物を譲るときに使います。コスはとどけるとか、渡すという意の古い言葉「遣す」が意味変化したものです。昭和20年頃までは、よく使っていましたが、今では一部の高齢者に限られています。

コスは単独で用いることがなく「米2升ほどコシテクンナカンベ(譲ってくれないでしょう)か」「自家製の味噌がいいっていうから少しコシてヤンベ(譲ってやろう)と思ってさ」のように、「くれる」や「やる」などと結び付けていいます。

(市民記者森下喜一)
 
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