太田家住宅の文化財登録原簿への登録について
登録有形文化財とは平成8年に発足した登録文化財制度により、築50年を経過し、一定の評価を得た歴史的建造物を文化財として登録し、ゆるやかな規制を通じて、保存や活用を図ろうとするものです。
佐野市大和町・天明町地内に所在する個人所有の太田家住宅につきまして、2月26日付をもって、文化財登録原簿へ登録がされ、以下の7件が国登録有形文化財になりました。これにより、市内の国登録有形文化財は22件となりました。
1.太田家住宅見世蔵及び主屋
(おおたけじゅうたくみせぐらおよびしゅおく) <建築年代 明治8年頃>
2.太田家住宅中蔵
(おおたけじゅうたくなかぐら) <建築年代 明治8年頃>
3.太田家住宅西蔵
(おおたけじゅうたくにしぐら) <建築年代 明治8年頃>
4.太田家住宅南蔵
(おおたけじゅうたくみなみぐら) <建築年代 江戸末期>
5.太田家住宅八幡社
(おおたけじゅうたくはちまんしゃ) <建築年代 明治14年頃>
6.太田家住宅稲荷社
(おおたけじゅうたくいなりしゃ) <建築年代 明治14年頃>
7.太田家住宅表門及び石塀
(おおたけじゅうたくおもてもんおよびいしべい) <建築年代 昭和前期>
太田家住宅の概要
太田家は宇都宮より、佐野に移り住み、弘化3年(1846年)に呉服・太物店を創業し、20余年かけ経営基盤を整えました。その後、農業経営や不動産管理、保険代理業を営むなど多角的な経営体制を確立させました。昭和3年(1928年)には、佐野信用組合の設立に係わり、同28年(1953年)には佐野信用金庫への転換を図るなど、地域金融の発展に尽力しております。その後においても、地域金融の発展に尽力するとともに、文教関係をはじめ多くの社会活動に係わり、地域社会に大きく貢献しました。太田家は、5代140余年にわたり、その時代の社会情勢に機敏に対応し繁栄し続けた、名実ともに地元が誇る旧家です。
明治8年(1875年)頃建設の見世蔵及び主屋をはじめ、多くの蔵が建ち並び、明治23年(1890年)発行の「大日本博覧図栃木県之部」に当時の「呉服・太物商」としての太田家の全景が分かる鳥瞰図として詳細に描かれており、配置や構造が現況とほぼ一致しており、見世蔵及び主屋は、重厚豪華な構えの町家で建設当初のままの姿で残され、維持管理も適切になされています。見世蔵内は当初の帳台構えがほぼ残されており、同時期に建築された近隣の建物の多くが失われている現在、佐野の近代の繁栄を証する大変貴重な歴史的建物であります。
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更新日:2020年11月20日