蝶々はむかしから親しまれてきた

野に山に色とりどりの花が咲く四月になると、もんしろちょうやあげはちょうなどが花から花へ飛び交うようすが見られます。身の回りにいる、小さくて愛らしい蝶々に、むかしの人は大人も子どもも親しみをおぼえ、各地でそれにふさわしい方言をつくって呼んでいました。佐野地域や田沼地域の新合・飛駒では、蝶々に「ベ」(接尾語)を添えてチョチョベと呼んでいました。蝶々に「ベ」や「マ」を添えて呼んだほうが何となく親しみを感じたからです。

葛生地域や田沼地域の三好・野上では「マ」を添えてチョチョマと呼んでいました。五十歳代以上の人なら、「確かに年寄りがそう言ってたよ」と思い出すでしょうし、七十歳以上の高齢者なら「今でも使っているよ」という人、「かつて使っていたよ」という人が多いのではないかと思います。

飛駒には、蝶々に「ベ」と「コ」の二つの接尾語を添えて、チョチョベッコと呼んでいました。「コ」は後になってから付けました。むかしはかわいくて小さく親しみを感じる動物には「メ」を付けました。メはなまってベに変化したり、マに変化したりしました。また動物や植物や物には、根っコ・隅っコ・掘っコ・石っコのように「コ」を付けて呼ぶこともありました。かつて佐野住民は蝶々を愛し親しみをもって接していたことがわかります。

(市民記者・森下 喜一)

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更新日:2023年09月21日