カーラもゼンテも、事の内容や状態を強めるときに使われる

ある事柄の内容などを否定する場合には「ぜんぜん」、「まるっきり」、「からっきし」などが使われ、「基本的なことを学ばないと、いくら勉強したって、ぜんぜん(まるっきり)わかんないね」などといいます。

これらの語とほぼ同じような意味や用法をもつ方言にカーラ・カラがあり、否定をよりいっそう強める働きをします。カーラ(カラ)は、からっきり(からっきし)の省略されたことばです。

「そんなにヤッケナ(面倒な)仕事でもネーのに、ハー(もう)ヤンナッチャッタ(嫌になった)ンだって!カーラ意気地ネー男だなあ」

刃物がすっかりさびてしまったり、跳ね上がったどろ水で着物が汚れたりすることがあります。このようなふさいだ心情を言い表すのに、ゼンテ・ゼーンテを用い、やや強めた表現をします。ゼンテ(ゼーンテ)はすっかり、全部、まるで、すべてといった意味です。

「ゴロゴロサマ(かみなり)が鳴り出したと思ったら、急に雨が降ってきて、上着もズボンも、ゼンテびしょ濡れンなっちゃった」

またゼーンテは、すっかり駄目になったことを含めて言うこともあります。

「雨の夜、酒に酔って道路でヒックリケッテ(転んで)、着物をゼーンテにしちゃった」
「野菜が雹に打たれてゼンテンなっちゃった」

ゼンテ(ゼーンテ)は、「全体」が意味変化したものです。

(市民記者 森下 喜一)

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更新日:2019年12月02日