干した物を取り込むことは、一般的にオッコムという

夕立雲が出て雨が降り出す前に、あるいは陽が沈みかける前に、天日に干した布団や洗濯物などは家の中に取り込みます。穀類(米・麦・そば・豆類)は、納屋またはその軒先などに取り込みます。このように適切な場所にまとめて取り込む(取り入れる)ことを、方言ではオッコムといいます。

佐野地域(主に田沼地区や葛生地区)は、昔から麻の生産地として知られていました。昭和40年頃までは、多くの農家で麻を栽培し、それによる収入は家計の大きな支えとなっていました。成長した麻の根や葉を切り落とし、麻(茎)には熱湯を浴びせ(この作業を「湯掛け」という)、翌朝その麻を天日に当てて乾燥させます。夕方になると、その麻を束ねて納屋やその軒下に取り込みます。このように乾燥させて取り込むときによく使われたのが「オッコム」という方言でした。中高齢者の中には、今でも「オッコム」という人は大勢います。

「カミ(北)の方で、ごろごろさまが鳴り出したンミテーだから、畑仕事をやめて、麻や洗濯もンをオッコンベジャネーケー(取り込みましょうよ)」

オッコムの語源は「押し込む」、これが変化して「おっこむ」となりました。狭いところに無理に入れる・閉じ込めるという意味でしたが、後に取り込む・取り入れるという意味に変わってしまいました。意味の変化したことば、これが現在使われている佐野方言「オッコム」です。

(市民記者 森下 喜一)

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更新日:2019年12月02日