忘れられた古い方言“オチャゾッパイ”~茶に添えて出す茶菓子や漬物~

農作業は天候に左右されるため、雨が降ったり強い風が吹いたりすると、田畑に出られなくなってしまいます。かつて農業が盛んだったころ、悪天候であったり、あるいは冬の寒さで農作業ができなかったとき、農家の人はよく隣の家へ出かけ、農作物の話や世間話をしながら楽しみました。

近所の家に出向くと、まず出されるのがチャオケという軽い食べ物でした。これは茶を飲むときに添えて出す菓子や漬物のことです。チャオケは、“茶うけ"が訛ったものです。

旧田沼町の野上・三好地方では、茶菓子や漬物をオチャズッパイ、またはオチャズッペといいました。同町の飛駒・山形地方では、オチャゾッペといいました。これらの方言の使用は昭和の初め頃までで、それ以降は消滅してしまい、今では一部の高齢者が知っているだけで、死語となってしまいました。

「これはウチ(わたしの家)でコサエタ(作った)オチャゾッペだけど、食ベラッセナ(食べてくださいね)。」

オチャゾッパイは、「お茶」と「ソッパイ」が結びついたものです。ソッパイは、しょっぱいの変化形で、“塩気がある"意といわれています。食べ物の味は、塩加減によって決まるといわれているように、オチャゾッパイは、塩加減がいいから味がよく、おいしいという意味です。ご飯のおかずのチャズッペも、味加減がよくおいしいという意味で、内容的にはオチャゾッパイと同じです。

(市民記者 森下 喜一)

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更新日:2019年12月02日