濡れることをクサルという

「腐る」とは、普通食べ物が細菌の作用で変質したり痛んだりして、悪臭を放つ状態をいいます。佐野では、雨や水がかかって濡れることをかつてクサルといっていました。今でも使っているお年寄りがいます。

「途中雨に降られちゃってさ、ほら、下着までクサッチャッテ…」

雨や水に濡れると、髪の毛がクサル、着物がクサル、靴下がクサルなどといって、「ぬれる」という共通語はあまり使いませんでした。

ただ濡れた「もの」が何かによって、「ぬれる」を使ったり、「クサル」を使ったりしました。たとえば、濡れるものが石である場合は、「縁側の沓脱ぎ石までぬれちゃってねー」などといい、濡れたものが衣類である場合は、「下着までクサッちゃってねー」などといいます。どういうときに「ぬれる」を使い、どういうときに「クサル」を使うのか、もともと佐野に生まれ育った人たちはきちんと使い分けていました。

衣類などに水がかかって、そのまま放っておくと、いずれは腐ってしまいます。そのようなものには「クサル」といい、水がかかっても腐らないものには、「ぬれる」といって区分していました。「クサッタもの」は、いずれ腐りますよ、「ぬれたもの」は、そのままにしておいてもくさりませんよという当時の生活の一端を表している言葉です。

(市民記者 森下 喜一)

この記事に関するお問い合わせ先

総合政策部広報ブランド推進課広報・地域連携係

〒327-8501
栃木県佐野市高砂町1
電話番号:0283-20-3037 ファクス番号:0283-21-5120
お問い合わせフォームはこちら

更新日:2023年09月21日