かまきりは神仏を拝むふりして何をする?

かまきりの前足は、鋸鎌(のこぎりがま)のような形をしています。その足の動きは素早くて、一瞬のうちに虫を捕まえてしまいます。かまきりは「鎌切」と書くように、名前と形と動作が一致した動物(昆虫)です。別称「蝿取り虫」とか、「疣(いぼ)むしり」などと呼ばれるのも、うなずけるというものです。

目の前に虫が現れるまで、前足を合わせ、、神仏でも祈っているかのように、身じろぎもせずじっと獲物が現れるのを待っています。この昆虫ばなれした奇妙なようすを見て、葛生地域の人たちはオガミムシ、田沼地域の人たちはトーロー、佐野地域の人たちはオガンドーロー・オガミジョーロー(オガンジョーロー)などというようになりました。オガンドーローも・オガミジョーロー(オガンジョーロー)も、「拝み蟷螂(とうろう)」が訛(なま)ったものです。「蟷螂」は平安時代に中国から伝わり、その音にならって、かまきりをトーローまたはトーロームシなどというようになりました。ちなみに、中国語では「蟷螂」をタンランと発音します。

「鎌切蟷螂(かまきりとうろう)」が訛ったり縮約されて、カマギッチョという方言もつくられましたし、蟷螂(とうろう)と、鎌切(かまきり)の一部の音が交ってできた、トーロゲ(トーロギッチョの略)という方言もつくられました。これは最近ほとんど使われなくなってしまいましたが、明治・大正生まれの人たちはよく使っていました。

(市民記者 森下 喜一)

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更新日:2023年09月21日