予期しないことが起こることをテンズケという

   「一概に」という共通語があります。これはひとくちに、ひっくるめてという意味で、「一概に黒だとも白だともいえない」のようにいいます。"一概に"は、文末に「~でない」という打ち消しの語を伴うのが普通です。"一概に"は訛って、イチゲニといいますが、意味は共通語と全く同じで、「うそをつくことはイチゲニ悪いとはいえない」のように、文末に打ち消しの語を伴います。

   ところが、同じイチゲニでも意味の異なるものもあります。そのイチゲニは、"物や動物"などが少し間をおいて、あることがいっせいに(一度に)起こすようなようすをいいます。文末に打ち消しの語を伴うことはありません。

   では、イチゲニはどんな場面で使われるのでしょうか。具体的な例を挙げてみてみましょう。

   「奥山に降った豪雨が流れ出したようだから、コンダ(今度は)田んぼや畑にイチゲニ流れ込むダンベ」

   ところで、突然に、いきなり、だしぬけにという意味の方言にテンズケがあります。これはイチゲニと意味の似ていることばです。テンズケは"人"が、なんの前触れもなく(予測する間もなく)突然に起こすようすをいいます。テンズケという方言は昭和のころまで、日頃よく聞かれましたが、今では聞くことも少なくなり、若者にはめずらしい方言になっているようです。

   「オッツケ(将来)なンになる(職業は?)って、テンズケ聞かれてもよくわかンネよねえ。」

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更新日:2022年10月31日