"ヤンショ"は人を誘うときにいうていねいなことば ―敬語その4―

   音楽会や卓球に誘ったり誘われたりすることはよくあることです。人を誘うときには「来週、音楽会があるってから聞きに行グベー（行こう）」といったり、「久しぶりに卓球でもヤンベー（しよう）」などといったりします。すすめたり誘ったりする語が「ベー」です。

   行グベーとか飲ンベーということばには、人を敬う意味がないので、年上の人などに軽々しく使うのは失礼になります。そこで年上の人には、「そこまで一緒に行ギヤンショ（行きましょう）」のようにいいます。”～ヤンショ”には、人を誘う意味と人を敬う意味があるので、年上の人にも同年配の人にも使うことができます。

   まず～ヤンショのある例文を見てみましょう。
「近くに子どもの遊び場ができたんだってガネ。どんなもんか行って、見てミヤンショ」
   ヤンショは「行き＋ヤンショ」のように同士の連用形のあとに添えていいます。

   ヤンショと同じように、人を誘うときには”ヤンスベー”ともいいます。ていねいな意のヤンスに、人を誘うベーが付いたものです。
「説明会は午後1時に始まるってから、ちょっと早めに行ギヤンスベー（行きましょう）」

   ～ヤンショやヤンスベーは、昭和の頃でも年老いた人たちの使う方言でした。今では、その老人たちも少なくなり、ほとんど聞くことができなくなりました。死語になってしまったと言ってもいいでしょう。