ハマ(輪)は、破魔矢の「破魔」から出た方言

リヤカーや自転車など円い形をした車輪をハマといっています。「自転車のハマがよく回らないんだよ」「トラックのハマが外れて大事故になったことがあったね」などといいます。子どもの頃は、タイヤを取り外した自転車のハマを細い棒で押すとくるくる回るので、小石だらけのオーカン(道路)を行き来して走り回ったものです。その遊びを「ハマ回し」とか「ハマ遊び」といっていました。車がほとんど通らない昔のオーカンで、ハマ回しをして遊ぶことは男の子の楽しみのひとつでした。

ハマは破魔矢(はまや)が意味変化して生まれた方言です。昔、悪魔を取り払うために、破魔(はま)という藁(わら)で作った円座の的(まと)に、小弓で矢を放ちました。関東地方(田舎)では、樫(かし)の木の輪切りにしたものをハマといってそれを転がし、転がるハマを木の枝や竹の竿で押し伏せました。こうすることが悪魔を払うことだったのです。これは正月に行なう古くからの行事でしたが、のちに子どもの遊び(競技)となってしまいました。この遊びは形態こそ違うものの日本各地で行なわれていました。江戸時代には円座を、「ハマ」といいましたが、輪(車輪)のことをハマということはありませんでした。正月に転がす木の輪切り(円座のようなもの)をハマということから、佐野では同じように転がる車輪をハマというようになりました。ハマという方言から、昔の生活上のさまざまな風習がわかってきますね。

(市民記者 森下 喜一)

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更新日:2023年09月21日