状態を表す「寒さ」の方言あれこれ

厳しい寒さと、それにともなう人の動作や状態を表す方言には、たくさんの種類があります。寒さで手の指が凍えて、「く」の字に曲がり、思うように動かない状態を共通語で「かじかむ」といいますが、佐野方言では「カガム」といいます。「あんまりサミー(寒い)もんだから、手の指がカガンジャッタ」

がっかりして気力をなくし、しゃがみ込む状態の「かがむ」(共通語)は、寒さで指先が曲がって硬直(こうちょく)した状態とよく似ていることから、佐野では「かがむ」を方言として用いるようになりました。

寒さで縮(ちぢ)こまり震(ふる)えることを、佐野方言でウズブレルといいます。ウズブレルは、もともと寒さとは関係のない江戸ことば(江戸方言)で、みすぼらしくて活気がないという意味でした。このような江戸ことばの意味が変化したものです。「あの男の子は水浴(みずあ)びして、唇(くちびる)をドドメイロにしてウズブレテッカラ、よっぽどサミーン(寒い)ダンベー」

寒さで重ね着して着膨(きぶく)れすることを、ドブクレルといいます。「太ってるのに重ね着してッから、余計にドブクレテメール(見える)ンダよ」「ド」(接頭語)は、「着膨れる」を強めたものです。小鳥などが冬の寒さを防ぐために、木の枝に止まって、羽毛を膨らませているのを見て、「雀が木の枝でドブクレてるよ」などともいいます。共通語と同じ語形でありながら、意味内容の異なる方言の一例を挙げてもみました。

(市民記者 森下 喜一)

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更新日:2023年09月21日