戸や障子を閉めることは、カタメルという

かって戸(雨戸)や障子(しょうじ)を「閉める」の方言に、カタメルがありました。当時は、このカタメルが共通語の「閉める」よりはるかに勢いがあり、性別や年齢に関係なく多くの人たちが日常的に使っていました。

「障子を開けっぱなしにしトクと、チミテー(冷たい)風がヘーッテ(入って)くるから、ちゃんとカタメトケ(閉めておけ)」

カタメルは、堅く守る、戸締まりを厳重にするという意の「固める」が原義でしたが、これが変化して戸障子を閉めるという意味になりました。カタメルと同じ意味の方言に、タテルもあります。戸障子や襖(ふすま)など開閉する建具には、カタメルが多く使われ、タテルの場合は、主に外回りの戸(雨戸)に使われることが多く、両者の使い方にちょっとした違いがみられます。

「午後ンなったら嵐が来るッテカラ(というから)、雨戸をタテテコー(閉めて来い)」「今日は風がツエー(強い)から、東っ側の戸はそのままタテトケー(閉めておけ)」

タテルは戸や雨具などを引き寄せて、並べ立てることをいい、これによって雨や風を防ぎました。このような行為が「閉める」の意になりました。明治・大正生まれの人たちは、カタメルもタテルも使っていましたが、昭和になるとタテルもカタメルも使用者が少なくなり、今では高齢者同士の会話に時折聞かれる程度で、両語とも死語に近い方言になってしまいました。

(市民記者・森下 喜一)

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更新日:2019年12月02日