座ったまま前に進み出ることをイジャリデルという

膝や尻を畳や地面につけたまま前に進み出ることを、共通語では「いざる」といいますが、方言ではイ(エ)ジャリデルまたは、イ(エ)ザリデルなどといいます。

「耳が遠くなってお坊さんの声が聞ケネ(聞こえない)から、このまんまイジャリデテ聞くべーなんて、隣に座っていた婆さんが小声でブツクサ(ひとり言)をいってたっけ」

イジャリデルは「いざる(居去)」が訛ったもので、膝や尻を地につけたままの姿勢で少しずつ前進することをいいます。

これとは反対に、前を向いたままの姿勢で、少しずつ後ろへ「下がる」ことをヒシャルといいます。人により地域によっては、シッシャル・シチャル・シッチャル・シッツァル・ヒシャル・ヒッシャル・ヒッチャル・ジサルなどともいいます。後ろへ「下がること(後退)」はアトッチャリといいます。

「会場の前の方がエラク(ひどく)混み合っているので、ワリーケンド(申し訳ないが)後ろにいる人は、ジングリジングリニ(順番に)ヒシャッテクンナカンベカー(後ろへ下がってくれませんか)」

ヒシャル・シッチャルなどは、後ろへ引き下がる意の共通語「しさる(退)」が訛ったものです。中高年者は今もなお使用していますが、若い人たちにはもはや過去のことばになってしまったのか、使っている人を見かけなくなりました。

(市民記者 森下 喜一)

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更新日:2019年12月02日