ショックで寝込んでしまうことをモッコヤミという
突然、大きな音を聞いたとき、あるいは事故などで多量の出血を見たときに、その驚きや激しい衝撃で足腰が立たなくなってしまうことがあります。これを「腰が抜ける」といいます。このような状態は比較的短い時間で正常な状態にもどるのが普通です。ところが、恐怖による精神的な強いショックを受けると寝込んでしまうことがあります。
山に行って大きな蛇ににらまれ、その怖さや、あとで蛇の祟りがあるのではないかと思って、寝込んでしまったという話があります。明治・大正の人たちは、恐怖と祟りによって生じる病をモッコヤミ、あるいはモッケヤミといっていました。今でも強いショックを受けて寝込んでしまうことをモッコヤミといっています。
「えたいのわかンネー、ウスッキビワリー(なんとなく気味がわるい)男がいるんだよ。コナイダ(先日)その男を山ン中で偶然見かけたんだけど、わたしをじーっと見てるンで、怖くなって足がすくんじゃった。そのショックでまる二日間もモッコヤミしちゃったよ」(農家の主婦の話、40年前)
モッコヤミ(モッケヤミ)の「モッコ(ケ)」は、昔のことばの「もののけ(物の怪)」が訛ったものです。物の怪とは、人にとりついて悩ましたり、病気にさせたり、ときには死にいたらしめる生霊・死霊などをいいます。「物の怪病み」が変化してモッコヤミとなりました。
(市民記者 森下 喜一)
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更新日:2019年12月02日