末代まで使えるじょうぶな道具類をマンゴモンという
昔から使い古してきた家具や農道具であっても、それほどいたんでもなく、また損傷もしてないものがあります。
農家の人が水田の土を砕(くだ)くために使っている古い”まんが”は、壊(こわ)れないように頑丈(がんじょう)に作られています。このように強くしっかりしたものを、方言でガトーといいます。まんがは馬鍬(まぐわ)が変化したものです。まんがの横木には多くの鉄の歯がついています。これを牛馬にひかせて田畑の土をかきならします。
昭和の初めごろ、農家の人からこんな話も聞かれました。
「まんがはガトーにできてッから、そんなにがたが来ネンだよねえ」
また、あつらえて作った机や椅子(いす)を見ると
「檜(ひのき)でコセタ(作った)机は、見た目にきれいだし、ガトーにコセテ(作って)あるようだね」
などといったものです。昭和になると、ガトーということばは自然に消滅し死語になってしまいました。
明治生まれの人は、じょうぶで長持ちするもの(主に家具・道具など)を”末代物(まつだいもの)”といいました。頑丈に作られた製品は、いつまでも壊(こわ)れないし、長持ちするからです。高価な皮革製品なども末代物といいました。このように長持ちする末代物は、方言でいうことが多く、普通マンゴモンといいました。
「その革ガバン(かばん)はマンゴモンだね。見た目にもきれいだし、しっかりしてるしねえ」
などといったものです。マンゴとは”きわめて長い時間”という意味の「万劫(まんごう)」が変化したものです。
(市民記者 森下喜一)
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更新日:2020年06月30日