麻種子(あさたね)をついばむアオソをタケズッポで追い払う

秋から春にかけて、農村地域に群れをなして飛び回る小鳥がいます。日中は河原にいることが多いことから「かわらひわ」といいます。からだのほとんどが緑褐色ですが、つばさには黄色いまだらがあって、飛んでいる姿は美しくあざやかです。くちばしは太く、麻種子や穀物やひまわりの種子などをかみくだいて食べます。このかわらひわを方言でアオソといいます。
 
アオソはキリリコロロジューイと鳴きますが、繁殖期(はんしょくき)になるとチョンチョンジューイと鳴き方を変えます。佐野は昔から麻の産地として知られ、各農家では昭和30年代ごろまで栽培していました。4月になると麻の種まきが始まります。そして種まきが終わると、組合内の人たちは当番に当たる家に集まって"麻まき祝い"をします。当日は白米を蒸(む)して作ったバンダイモチ(餅の一種)を祝い物として食べることになっています。集落によっては、この行事が昭和の初めごろまで行われていました。麻の他に、養蚕(ようさん)やたばこの栽培も盛んでした。これらの栽培や飼育は、農家の生活を支える重要な収入源でした。
 
麻まきを待っていたとばかりに、アオソは群れをなして一斉に麻畑に舞い下ります。朝早くから物陰にかくれて竹づつをたたいたり、棒などを投げつけて追い払うこともありました。
 
「物陰にかくれてサー。アオソが来ると、タケズッポをパンパンパンとブッパタク(たたく)ンだよ。すると、アオソはブッタマゲテ(びっくりして)、一斉に飛び立って逃げてったよ」
 
タケズッポは、長さ3、40センチほどの竹づつで、タカツッポ・タカッポともいいます。
(市民記者 森下喜一)
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更新日:2020年08月31日