縄張りからみた唐沢山城
今回は、調査指導委員会委員の千田嘉博氏の論考を引用してご紹介します。
唐沢山の山頂付近には本丸を中心とした城の中枢の痕跡がありますが、その周辺などにも城郭遺構群が点在し、さらに山麓にも館跡・城下遺構が広がっています。このように山中だけでなく、山麓など周囲にかけて城郭遺構がセットで残っている城跡は全国的にも稀です。
また、それぞれの遺構には時代の異なりが認められ、中枢部では近世初頭の痕跡が見られるのに対し、周辺の城郭群は戦国期までの比較的古い状態を残しています。そして、山麓・城下遺構では戦国後期および城の最終段階であった近世初頭までの姿を見ることができます。
このように唐沢山城跡は、城郭の時代の変遷を知る上でも歴史的な価値が高いものとなっています。こうしたことから、唐沢山城跡は関東の戦国史を語る上で欠くことのできない城として、今後の遺構群の適切な保護・保全などの史跡の整備について高い期待を寄せていただいています。
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更新日:2019年12月02日