国指定重要文化財/木造エラスムス立像

ベージュ色の壁の前に置かれた、岩のようなものの上に立ち、右手に巻物を持っていて所々黒く変色している木造エラスムス立像

指定年月日

昭和25年8月29日

所在地

佐野市上羽田町(東京国立博物館にて展示(不定期)。複製が佐野市郷土博物館にて展示。)

所有者

竜江院

この像は慶長5年(1600)太平洋上で暴風雨にあい、大分県に漂着したオランダ船リーフデ号の船尾に取りつけられていたものです。リーフデ号は「エラスムス号」を改名したもので、この船には徳川家康の外交顧問になったウイリアム・アダムス(三浦按針(みうらあんじん))も乗船していました。

この像が竜江院に伝来した理由は、当時幕府の御持(おもち)筒頭(つつかしら)をしていた旗本牧野成里(しげさと)の手に渡り、彼の知行地羽田村の菩提寺竜江院に牧野家ゆかりの品々と共に寄進されたためといわれています。それ以来、この像は中国の造船の創造者とされる貨狄(かてき)像として、寺の山門南側堂宇に安置されていました。この像の姿から寺近辺に「小豆とぎ婆々」の民話が生まれ、今日に至っています。

昭和5年、丸山瓦全の調査により、この貨狄像はオランダの啓蒙思想家エラスムス(応仁元年~天文5年)の像であることがわかりました。そして、オランダからの譲渡の希望を断り、昭和5年、国宝に指定されました(法改正により、昭和25年に重要文化財指定)。右手に垂れ下がっている巻物に「ER(AS)MVSR(OT)TE(RDA)M1598」の文字が認められます。オランダ最古の木彫になります。

なお、佐野市郷土博物館にて、当文化財の複製品が常設展示されています。

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更新日:2019年12月02日