場所をはっきりさせるために、窪みに"卜"や"ド"をつける

雨が降って、窪みなどに水が流れ込むと、池のような水たまりができます。水たまりは蛙にとって住み心地がよく、絶好のたまり場となります。このような水の溜まり場や窪地は、蛙ばかりでなく昔の人たちにとっても興味があったらしく、いろいろな名称(方言)をつけました。その主なものに、クボット・ヘコミット・クボンド・ヘコンドなどがあります。これらは共通語の窪みやへこみに“卜"や“ド"(接尾語)をつけたものです。水の深いところは、フカンドともいいます。でも、最近これらの方言を使う人は、高齢者を除いてだんだん少なくなっています。

「アスコ(あそこ)のクボンドのあたりは、ヌカリットンナッテッカラ(ぬかるみになっているから)、うっかりそこへ足をフンゴンダラ(踏み込んだら)たいへんだよ。遠まわりして行ガネーと、ケーッテ(かえって)時間をトラレチャーカン(時間がかかるから)ね」

“卜"や“ド"は、ところ・場所という意を表しますので、クボットは窪んでいるところをいい、ヘコンドはへこんでいるところをいいます。

小さな窪みをクボミッタマともいいます。わずかな水がたまっている程度の窪みをいいます。窪地であることを強調していう場合は、「ドッ」という接頭語をつけて、ドックボといいます。

「あの山の麓には、じめじめしたドックボがあるんだって。その近くに、シカンボ(鹿)やいのししなどケダモン(獣)があらわれるってから、キー(気を)つけなよ」

(市民記者 森下 喜一)

この記事に関するお問い合わせ先

総合政策部広報ブランド推進課広報・地域連携係

〒327-8501
栃木県佐野市高砂町1
電話番号:0283-20-3037 ファクス番号:0283-21-5120
お問い合わせフォームはこちら

更新日:2019年12月02日