"追い払う"を強めていうときはオッコクルという

鳥類のなかでも、からすは雑食だけに果物以外に、みみずや動物の死体までいろいろなものを食べます。すずめは稲穂を好んで食べます。このようにからすもすずめも、農作物を食べたりかじったりするので嫌われ、収穫の季節がやってくると田畑から追い払われます。“追い払う"ことを、方言ではオイトバス、オットバスなどといいます。

オットバスの「オッ」は追うの変化形で、追い払うという意味です。「トバス」は動作の勢いを表すので、オットバス(追い払う)は、共通語の追い払うよりも語調が強くなります。

「ニヤットリ(鶏)は、“三歩歩けば忘れる"ッテいうけど、イックラ(何度)オットバシたって、またやってきて、むしろの籾米をカッパイ(足で掻き散らし)たり、クッチラカシ(食い散らし)たりするンだから、どうショーモネーよ」

魚や牛の肉片などを食べようとしたり、盗み取りしようとする飼い猫や飼い犬などにも、烏類と同じように、普通オイトバスとかオットバスを使います。

ところが、野ら猫や野ら犬などが、家に入り食べ物を盗み取りしたり、盗み食いしたりすると、感情が高ぶり怒り声をあげて追い払います。このときの“追い払う"はオッコクルといい、オットバスより語気が強くなります。コクルは「オッ」を強めるはたらきをしています。

「野ら猫が台所で、サガネッコト(探すこと)をしてタンデ(いたので)、こん畜生め!と怒嗚って、オッコクッてやったよ。オッコクンネ(追い払わない)と、また、来ッかンね」

(市民記者 森下 喜一)

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更新日:2019年12月02日