方言オッパシルは"走って行く"という意味だった

オッパシル(オッペシルとも)という方言があります。これは「走る」に、オッ(接頭語)が付いたものです。オッは走る動作を強めるはたらきがありますので、オッパシル(オッペシル)は、元来、足早に行く・走って行く・かけて行くという意味でした。

「あのワケーシ(青年)は、バスの出る時間にマガウダンベ(間に合うだろう)か。急いでオッパシッテッタ(走って行った)から、マガッタンベー(間に合ったでしょう)。ボットスルト(もしかすると)、マガーナカッタ(間に合わなかった)かもシンネよ」

ところが、“走って行く"“かけて行く"という意味のオッパシル(オッペシル)は、“歩いて行く?“歩いて帰る"という意味に変わって使われることが多くなりました。

「午後3時になると、決まってここにとぼとぼやって来て…。すぐにまたヒッケーシテ(引き返して)、とぼとぼオッパシッテグ(家に帰って行く)老人がいますね。どんな人?」

オッパシル(オッペシル)を使う人たちの多くは、明治・大正生まれですから、今では使われることがほとんどなくなりました。ですから死語同然の方言といっていいでしょう。

オッパシルに関連する方言にトーッパシル(トーッパシリスルとも)があります。この方言はオッパシルに“遠い"が付いたもので、“遠くの方まで歩いて行く"という意味です。

「あの子はひとりで、あっちの方まで、よくもまあ、トーッパシッタもんだねえ。シンネ(知らない)道を歩いてって、不安ジャーなかったンダンベか」

(市民記者 森下 喜一)

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更新日:2019年12月02日