飯は"ニル(煮る)"から"たく(炊く)"へ

   子どもの頃、近所のおばさんからセンベン(煎餅)やアメッタマ(飴玉)などをもらったときには「オーキニネー」といいました。友だちから物をもらったときには「オーキニナー」といいました。オーキニは、お礼のことばで語尾にネーを添えるとていねいになり、ナーを添えるとちょっとぞんざいな感じはするが、親しみがあります。

   オーキニは関西語で「おおきにありがとう」の略語といわれています。昭和20年ごろからオーキニはだんだん衰えはじめ、それに代わって「ありがとう」が使われるようになりました。

   ところで、飯を「たく(炊く)」という共通語があります。明治生まれの人たちの多くは、この「たく」を「ニル(煮る)」といっていました。「ニル」は「たく」よりも古くからあり、昭和10年代まで「ニル」が日常的に使われていました。特に田沼や葛生の山手地方では「ニル」を使う傾向が強かったようです。その後、共通語の「たく」が東京方面から伝播し、「ニル」は次第に消えていきました。飯は「たく」、汁物は「ニル」のように、「たく」と「ニル」が使い分けされるようになったのは、昭和20年になってからのことです。

   また「煮しめる」ことを、方言では普通ニヒラカスといいます。ネヒラカスともいいます。ニヒラカスは煮物の煮汁がなくなるくらいまでじっくり煮て、その汁をしみ込ませることをいいます。明治・大正生まれの人たちは、ニヒラカスを昭和の中ごろまで使っていました。

   「鍋(なべ)に入れてしばらくニヒラカシタから、しょうゆの味がよくしみてるダンベー」

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更新日:2021年10月29日