人になつかない子猫はタナギネコ

かつて猫は、鶏(にわとり)や犬のように、家畜として飼われていましたが、最近はペットとして飼う家庭が多くなっています。昭和の中ごろまでは、穀物を食い荒らす鼠に困り、その鼠害(そがい)対策として猫を飼う家庭がたくさんありました。

猫が子猫を出産するときは、人気(ひとけ)のない静かな屋根裏を選ぶことが多いので、生まれた子猫が成長しても人になつかず、近づくと逃げ回ったり、威嚇することさえあります。このような子猫を、昔は共通語でズシネコといいました。ズシ(厨子)は屋根裏(天井裏)をいい、ここは普通、雑品・雑具などの物置き場となっていました。雌猫はこのような場所を見つけて子どもを生むので、子猫は人になつかなくなります。そこで、そのような慣れ親しまない猫をズシネコと呼ぶようになったというわけです。

佐野方言では物を置く天井裏をタナギといいます。タナギは、本来、物を載せるために、天井に板を張り渡した棚のことで、棚木がもとの意味です。人目につかないタナギで生まれ育った猫をタナギネコといいます。「あの三毛猫がシノバ(収納場)のスマッコ(隅っこ)で子猫を5匹も生んだんだってさ。だから、みんなタナギネコで人の気配がすると、すぐカクネチャン(隠れてしまう)だってさ。あんな子猫なんかモラエット(もらう人)がエナカンベヨ(いないでしょうよ)」

(市民記者・森下 喜一)

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更新日:2023年09月21日