平成21年度の調査の成果
国指定史跡化を目指す唐沢山城跡の平成21年度調査が終了したので、主な成果を紹介します。
遺構確認調査
田沼高校側の根小屋地区では、昨年発見された石垣などの遺構の広がりや、新たな遺構の確認をする調査を行いました。
- 隼人屋敷
これまで確認されていた石垣底面部の下から、平坦面が確認されました。さらに、この石垣の南調査区では、南方に傾斜する遺構が確認され、かわらけ(素焼きの皿)をはじめ、中国で生産された青磁や白磁、現在の瀬戸市周辺で生産された陶器、そして海洋性の巻貝も出土しました。巻貝は関東地方近海で採れ、食用にされたと思われます。また、この曲輪の西側斜面中段では高さ約1mの石積みが見つかりました。この石積みの下は平らになっていて、犬走り状の通路跡があったと考えられます。 - 家中屋敷
道路わきに、低い石組溝が見つかりました。古い溝と幅を広げた新しい溝の2本で、屋敷脇の排水溝と考えられます。 - 御台所地区
今まで遺構が確認できなかった場所でしたが、2カ所で石列が見つかったため、本年度詳しい調査を行う予定です。
史・資料調査
唐沢山神社で確認された新たな史料の整理や、田沼町史で収集された史料の再確認調査、各県市町村史などで紹介されている文献史料の収集などを行いました。
地形測量調査と縄張調査
城の範囲を正確に把握するため行うものです。5つに分けた調査予定地の内、本年度は2区の地形測量図を作成し、縄張調査は地形測量調査に先行して、3区およびその南部区域について行いました。
範囲の広い唐沢山城跡で、確認調査を行っている部分はわずかです。しかし、調査を進めると、新たな発見があり、少しずつ城跡の様子がわかってきます。いつか、当時の人々の日々の生活や、戦乱の様子が復元できるよう、今年度も調査を進めていきます。
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更新日:2019年12月02日