誤解されやすい方言“セツナイとマサカとキガオケナイ”
共通語と方言には、同じ音をもつ語がたくさんありますが、その中には意味が異なり誤解されやすいものがあります。例えば、共通語の「切ない」は、心中でつらく思っていることを晴らしたいという気持ちや、悲しくて胸がしめつけられそうだという気持ちを表すことばです。これに対して、方言のセツナイは、やるせないとか、金銭や物資がなく乏しいといった意味です。訛って、セツネーという人もたくさんいます。
「昔は、あの人は、はぶりがよかったけど、あんなに繁盛していた商店がチャブレチャッタ(倒産した)ンで、今ジャー、ひっそりとセツネー暮らしをしてますよ」
また、共通語の「まさか」は、下に打消しの語を伴って、「まさか来なカンベー」などといいます。だが、方言のマサカは、“はなはだ、非常に"という意味で、下に打消しの語を伴うことがなく、強めてマッサカともいいます。
「あの子が、まさかあんなに速いとは思わなかったけど、実際に走っているのを見たら、マサカ速いんでびっくりしたよ」
特に気をつけたい方言に“キガオケナイ"があります。このキガオケナイは、気をゆるすことができない、油断できないという意味です。佐野には、このキガオケナイと同じ音をもつ共通語「気が置けない」も使われています。これはキガオケナイとは正反対の意味をもっています。キガオケナイは、共通語が転意したもので、その時期は比較的新しく、明治の初期頃といわれています。
(市民記者 森下 喜一)
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更新日:2019年12月02日