本来の発音がなまって変化したもの(その一)―イとエの区別ができない―

5、60年も前のこと、衆議院議員の選挙があったときのことです。「このたび衆議エン議エンに立候補した○○氏に、清き一票を…」と地元の有力者が、市街で声高に応援演説をしていました。「いん」をエンと何回となく繰り返されていました。当時は「井戸掘り」が「エドホリ」になり、「机」がツクイになるなど、イとエの混同が多かったが、高齢化になればなるほど、その傾向がきわ立っていました。「え」がイ、「い」がエと発音される語例。

「昨日はエンガ【因果】見たよ(ひどい目にあったよ)」
「ちっちゃいエシッコ【石っこ】を拾ってきて、石けりしてアスンベヤ(遊ぼう)」
「サミー(寒い)から、エロリバタ【いろり端】であったまンベー」
「色の濃いインピツ【鉛筆】で書いたから、字がよくメール(見える)よ」

共通語化がすすんで、イとエの混同がなくなったにちがいないと思っていたら、市内の辺地で次のような会話を耳にしました。また、石碑にある地域訛りの文字も目にとまりました。

「あんな砂利道で、トショリ(老人)がツイ(杖)もつかネで、よろよろ歩エてるけど、あれジャー、自分家にヒッケッテ(引き返して)エゲルダンベ(行けるだろう)か」

某神社の境内に神社建立記念碑が建っていました。その碑文を見ると、「○○神社は、○○のため、創建されたと伝いられています」〈平成10年記〉とありました。

(市民記者 森下 喜一)

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更新日:2019年12月02日