佐野のアクセントはなぜ複雑なのか

佐野市のように、一つの市に三種類ものアクセントがあるのはなぜでしょうか。栃木県は、もとは高い低いがはっきりした東京式アクセントでした。しかし、別の異なる東北方言アクセントと衝突したために、その境界には明瞭性に欠けた曖昧(あいまい)なアクセントが発生しました。その曖昧なアクセントが、福島・那須地方から宇都宮へ、さらに南下して佐野へと伝わってきました。

そのために、佐野地域(旧佐野市)のアクセントは曖昧化して、高い低いの区別を失う一歩手前まできました。このアクセントの曖昧化がさらに進むと、やがては高い低いの判別ができなくなってしまい、那須地方、宇都宮市・栃木市・小山市などのように、無アクセントになってしまいます。田沼・葛生地域も、曖昧アクセントが変化し、今では無アクセントになっています。ただ、同じ地域内にありながら、彦間・飛駒地域だけは東京式アクセントです。

それは県北地方から押し寄せてきた曖昧アクセントの影響を受けなかったからです(東京式アクセントである足利とは無関係です)。県内のアクセントの歴史をみると、東京式アクセント⇒曖昧アクセント⇒無アクセントへと変化してきました。その変化の過渡期にあったのが佐野方言ということになります。いずれは彦間・飛駒地域も曖昧化し、無アクセントになるところでしたが、マスメディア・交通などの急激な発達によって、現在のアクセントの崩れはなくなったとみていいでしょう。

(市民記者・森下 喜一)

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更新日:2019年12月02日