蟻(あり)や蟹(かに)には親しみを表す語「ドン」を付けた

気候が温かくなると、あらゆる生物が活発に活動し始めます。集団で行動する生き物は特に人目を引きます。働き蟻はもっぱら歩き、穴を掘り餌を蓄えたくさんの卵を産むことで知られています。沢蟹(さわがに)も居心地のよさそうな水場の岩屋医師の陰にたくさん集まっています。蟹は古くから子どもたちにも関心が高く、遊び仲間のような存在でした。

昔の人は蟻や蟹の動きに関心をもって、もてあそんだり観察したりしました。そして「蟻と蟻にも礼儀あり」「蟹の横ばい」など多くのことわざが生まれました。

『枕草子(まくらのそうし)』には、蟻はどうも気に入らないが、からだが非常に軽くて水の上を深い関(かか)わりをもっていたことがわかります。そこで人間と同じように「ども」を付けて、「蟻ども」・「蟹ども」といっていました。しかし、いつの間にかこれが訛(なま)って、蟻を「アリンドン」(アリドンともいう)・蟹を「ガニンドン」(ガニドンともいう)というようになりました。

「アリンドンはアメーモン(甘い物)が好きだね」・「ガニドンは雨ップリ(雨降り)の日に、川から這(は)い上がって道端(みちばた)にもいるよ」

蟻や蟹に付くドンには、さげすむ意はなくむしろ親しみの意が込められています。昭和20年ごろを境に、アリンドンもガニンドンもほとんど聞かれなくなってしまいました。

(市民記者・森下 喜一)

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更新日:2023年09月21日