建築基準法に基づく特殊建築物の定期報告制度
定期報告制度とは
劇場、百貨店、ホテル、病院、共同住宅等は、不特定多数の人々が利用する建築物であり、利用者の安全を確保するため、火災等が発生した場合に、利用者が安全に避難できるように建築されています。
しかし、建築物の維持管理・利用が適切に行われていない場合には、火災等が発生した際に建築物が備えている本来の機能を十分に発揮できず、安全性が低下し、人的被害をもたらす災害を引き起こし、大惨事となる恐れがあります。
近年では、建築物だけでなくエレベーターや遊戯施設の事故が相次いでおり、いずれも定期検査が適切に行われていなかったことで、事故につながった可能性があると指摘されています。
そのため、建築基準法第12条では、上記の災害、事故等の発生や拡大を未然に防ぐため、専門家による調査又は検査を定期的に受け、結果を特定行政庁に報告するよう義務付けています。
定期報告制度の改正の概要(平成28年6月1日施行)
建築物等の定期報告については、これまで特定行政庁(佐野市)が対象となる建築物や昇降機を全て指定して、当該建物所有者に対して調査・報告を求めていました。
近年、高齢者等が居住する施設等において、火災等による大きな被害が発生したことを受け、平成28年6月1日に施行された建築基準法の一部改正に伴い、特殊建築物(建築基準法第6条第1項に掲げる建築物)で安全上、防火上又は衛生上特に重要である建築物等については、政令(建築基準法施行令第16条)により全国一律に定期報告の対象となる建築物等が定められ、それ以外の建築物等については、特定行政庁が指定を行うこととなりました。
佐野市では、法改正前から指定してきた建築物等について、市民や建築物利用者の安全を第一に考え、これまで報告を求めてきた建築物等は引き続き調査・報告を求めることとしました。
定期報告の対象となる建築物等
定期報告の対象建築物等については、以下の表をご確認ください。
定期報告の対象となる建築物
用途 | 政令及び市細則による指定規模等 | 報告間隔 | 報告時期 |
---|---|---|---|
劇場、映画館又は演芸場 | 地階若しくはF≧3階 A≧200平方メートル(客席部分に限る。) 主階が1階にないものでA>100平方メートル |
2年 |
検査済証の交付を受けた日の属する月から起算して報告間隔を超えない9月 次回以降、報告間隔を超えない9月 |
観覧場(屋外観覧場を除く。) 公会堂又は集会場 |
地階若しくはF≧3階 A≧200平方メートル |
2年 |
検査済証の交付を受けた日の属する月から起算して報告間隔を超えない9月 次回以降、報告間隔を超えない9月 |
病院又は診療所 (患者の収容施設があるものに限る。) |
地階若しくはF≧3階 2階の床面積300平方メートル以上(2階に患者の収容施設がある場合) |
2年 |
検査済証の交付を受けた日の属する月から起算して報告間隔を超えない9月 次回以降、報告間隔を超えない9月 |
ホテル又は旅館 | 地階若しくはF≧3階 2階の床面積300平方メートル以上 A≧1,000平方メートル【市細則による指定】 |
2年 |
検査済証の交付を受けた日の属する月から起算して報告間隔を超えない9月 次回以降、報告間隔を超えない9月 |
児童福祉施設等 (高齢者等の就寝の用に供するものに限る。) |
地階若しくはF≧3階 2階の床面積300平方メートル以上 |
2年 |
検査済証の交付を受けた日の属する月から起算して報告間隔を超えない9月 次回以降、報告間隔を超えない9月 |
百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、待合、料理店、飲食店又は物品販売業を営む店舗 | 地階若しくはF≧3階 2階の床面積500平方メートル以上 A≧3,000平方メートル【避難階のみの場合は市細則により指定】 |
2年 |
検査済証の交付を受けた日の属する月から起算して報告間隔を超えない9月 次回以降、報告間隔を超えない9月 |
下宿、共同住宅、寄宿舎等 (高齢者福祉施設の就寝の用に供するものに限る。) |
地階若しくはF≧3階 2階の床面積300平方メートル以上 |
3年 |
検査済証の交付を受けた日の属する月から起算して報告間隔を超えない9月 次回以降、報告間隔を超えない9月 |
体育館(学校に付属するものを除く。) | F≧3階 A≧2,000平方メートル |
3年 |
検査済証の交付を受けた日の属する月から起算して報告間隔を超えない9月 次回以降、報告間隔を超えない9月 |
博物館、美術館、図書館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場又はスポーツの練習場 | F≧3階 A≧2,000平方メートル |
3年 |
検査済証の交付を受けた日の属する月から起算して報告間隔を超えない9月 次回以降、報告間隔を超えない9月 |
事務所その他これらに類するもの | F≧5階かつA>1,000平方メートル【市細則による指定】 | 3年 |
検査済証の交付を受けた日の属する月から起算して報告間隔を超えない9月 次回以降、報告間隔を超えない9月 |
定期報告の対象となる昇降機等
昇降機等の種類(政令及び県細則による指定等) | 報告間隔 | 報告時期 |
---|---|---|
エレベーター(労働基準法対象のエレベーター及びホームエレベーターを除く。注釈1、注釈2) | 1年 |
検査済証交付月 次回以降毎年、検査済証交付月 |
エスカレーター | 1年 |
検査済証交付月 次回以降毎年、検査済証交付月 |
小荷物専用昇降機 | 1年 |
検査済証交付月 次回以降毎年、検査済証交付月 |
遊戯施設等(観光用のエレベーター及びエスカレーターを含む。注釈3) | 1年 |
検査済証交付月 次回以降毎年、検査済証交付月 |
注釈1 一戸建ての住宅又は長屋若しくは共同住宅の住戸に設けられたものを除く
注釈2 積載荷重が1トン以上のもので、労働基準法別表第一第一号から第五号までに掲げる事業の用に供される建築物の作業場の部分において、専ら生産過程の一部として原材料、製品等の運搬の用に供されるもの又は専ら搬送過程の一部として貨物等の運搬の用に供されるもの(専ら生産又は搬送の作業に従事する者が運搬のため乗り込むものを含む)を除く
注釈3 一般の交通の用に供されるものを除く
定期報告の対象となる防火設備
用途 | 政令及び県細則による指定規模等 | 報告間隔 | 報告時期 |
---|---|---|---|
定期報告対象建築物 (市細則指定建築物を含む。) |
随時閉鎖式のものに限る。 | 1年 |
検査済証の交付を受けた日以降の9月 次回以降毎年9月 |
病院、診療所又は高齢者等の就寝の用に供する施設 (200平方メートル以上) |
随時閉鎖式のものに限る。 | 1年 |
検査済証の交付を受けた日以降の9月 次回以降毎年9月 |
(注意)外壁開口部の防火設備、常時閉鎖式の防火設備、防火ダンパーは対象外です。
調査・検査の資格者
建築基準法の調査・検査資格者について、平成28年6月1日の建築基準法の一部改正により、新たに防火設備調査資格者が追加されました。
なお、佐野市では調査・検査資格者の紹介は行っておりません。
調査・検査対象の資格 | 建築物 | 昇降機/遊戯施設 | 建築設備 | 防火設備 |
---|---|---|---|---|
一級建築士・二級建築士 | 資格有 | 資格有 | 資格有 | 資格有 |
特定建築物調査員 | 資格有 | |||
昇降機等検査員 | 資格有 | |||
建築設備検査員 | 資格有 | |||
防火設備検査員 | 資格有 |
定期報告の様式
平成28年6月1日の建築基準法改正に伴い、定期報告様式が改正されております。
定期報告の様式は、書類ダウンロード(建築)からダウンロードできます。
定期報告制度に関する関連リンク先(別窓で開きます)
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更新日:2019年12月02日